2025 年の振り返り

2025 年始まったなって思っていたら,いつのまにか大晦日になりました.実家に帰省しつつも紅白を見るでもなく,あまり普段はやらない振り返りをやっています.なんか書いてたら年も明けました.(喪中なので祝えない)

そういえば,先週のクリスマスイブに 28 歳の誕生日を迎えてしまいました.アラサーです.誕生日ケーキという名のクリスマスケーキは,ヤマザキのホールケーキでした.ろうそくが付いておらずフーフーイベント失敗です.なんというか,かつて食べたイチゴスペシャル (半円形ですこぶる甘い菓子パン) に生クリームを塗ったような,どこか懐かしい?味がしました.

あまり誕生日の余韻というのも続かない歳ですが,それなりに色々あった一年を振り返ってみます.

おしごと

転職のこと

元々パソコンカタカタが好きでエンジニアをやっているので,大抵のことは平気な顔でこなせるのですが,年始は閉塞感がありました.

前職の会社が株 100 で買収されて,ちょっとずつ文化が (解釈違いの方向に?) 変わっていく中で,自分は PHP と Terraform の職人をやっていました.ずっと EC2 で動いていたシステムを ECS on Fargate に移行する案件の最中でした.思えば去年もオンプレで PHP 5 系で動いているシステムを 8 系へせっせと移行する仕事でした.事業としては喜ばれましたが,またやりたいかというと..社内での表彰みたいなのもありましたが,自分は基本的に業務委託の人とだけ動くことが多かったので,蚊帳の外から見ている感はあったと思います.

大学院まで行って計算機科学をやっていたのに,このまま PHPer として続けて AI に駆逐されるのかな (たまに PHP をまともに知らないくせにオモチャ言語のように揶揄する輩がいますが,そういうエアプには中指を立てていきたい所存) と思っていた矢先に,面談で期末の給与改訂の話があって,汚い話ですが院卒なのに本当に月給上がらんなとなって,勢いで転職エージェントに登録しました.大学から部活やら何やらずっと一緒だった友人 (非情報系) が紆余曲折あって仕事で Rust を書いていて,(彼は優秀なので全く文句は無いのですが) 自分より収入があったのもトリガーになったかと思います.

利用した転職エージェントは「IT 特化」を謳う某なのですが,結果としては全くおすすめしたくないです.こちらの技術的な意図が伝わらず (型付き言語が通じないってマジ?)「任せてください!」って言われて任せた履歴書には誤りが散見され,求人票も当初伝えた技術スタックにそぐわないのばかり投げられて,ちゃんとフィルタリングしてほしいって言ったら仕様で無理だと言われて,本当にドン引きしました.求人票を持っているだけのステータスを振りかざして金を稼ぐ勢力と見做すのが妥当かと思います. 唯一,メールなどでのやりとりを自分の代わりにやってくれるってのはありましたが,自分はテキストコミュニケーションが得意な部類なので,あまりありがたくはなかったかもしれません.

二度とエージェントは利用しないと固く誓うほど酷い体験でしたが,最終的には現在の職場に巡り会うことができたので,終わり良ければ全て良しといったところでしょうか.

現職の出来事やエンジニアリングのこと

6月に入社した現職は,エンジニアとして空気が美味しいと感じられるような職場でした.ビジネスの道具だと割り切るだけじゃなくて,純粋に技術そのものを楽しむ文化が醸成されていて,コンテナ技術や K8s の書籍を執筆しているメンバーが居るのも心強いです.社内外問わずアウトプットの文化もあって,自分は入社してすぐに,末尾再帰最適化のない言語でのトランポリン最適化や AST を操作してループ処理にする話,今年ホットな定理証明支援系 Lean の紹介など,ぜんぜん仕事っぽくないのを共有しましたが,周りから面白いと受け入れてもらえたのも嬉しかったかなと思います.

関数型まつりの当日スタッフとして裏方の仕事もやりました.弊社がプラチナスポンサーなのでよく勘違いされるのですが,これは業務とは無関係に個人で参加したものです.Standard ML のプログラムを書いたり,計算モデルの定理証明をやったりしていた学生のころを思い出す,実家のような安心感のあるイベントだったかなと思います.

関数型まつり 2025
関数型まつりは関数型プログラミングをテーマとしたカンファレンスです
関数型まつり 2025 favicon 2025.fp-matsuri.org
関数型まつり 2025

夏には炎上していた案件の火消し要員として投入され,サラリーマンになって初めての休日出勤も経験しました.レアイベントですが洗礼になりました.いきなりしんどいのに当たったのもあって,現在担当している開発プロセスの内製化支援の案件は,いろいろ楽しすぎて踊ってしまいます.

8月から9月にかけては,Google Cloud の認定資格を馬鹿みたいなペースで取得していました.同僚が優秀で,無能だと思われて要らない子になりたくないって焦りはあったと思います.資格ビジネスも,問題がメンテされてないのに受験料がバカ高いとか,過去問が闇市で流通しているとか,なかなか闇が深い部分も多いですが,自分にとっては結構身になる経験だったかなと思います.現在の案件にも活きています.

(そういえば,以前から知っていた AWS と Google Cloud を比較して,それぞれの設計思想が立体的に見えてきたのは面白かったです.AWS が細かい部分までユーザに設定を委ねるのに対し,Google Cloud は Folder と Project は強制的に利用することになったり,VPC がグローバルリソースだったり,CDN がロードバランサの機能だったり,インフラを良い感じに抽象化して隠蔽する傾向があるなと感じます.あと Aurora や RedShift や Kendra など,格好付けて良くわからん名前を付けないのも好きです..)

年末は会社のテックブログに Spanner のコアアーキテクチャ記事も投稿しました.自分は大学院まで情報工学を専攻していたこともあり,こういうブラックボックスを深堀りする中で,Paxos などのアカデミックな理論が現代の商用サービスのコアとして息づいているのに触れられたのは,なんというか純粋に嬉しかったです.同僚から「ちょうど分散システムの本を読んでいる」と反響をもらえたのも現職でよかったなと思った瞬間でした.

Cloud Spanner の記事を書きました (+ 技術的な蛇足) - 芳賀 雅樹 のページ
Cloud Spanner のコアアーキテクチャについて,職場の Tech Blog 補足と技術的な余談 (Paxos, CAP 定理, NewSQL) をまとめました.
Cloud Spanner の記事を書きました (+ 技術的な蛇足) - 芳賀 雅樹 のページ favicon silasol.la
Cloud Spanner の記事を書きました (+ 技術的な蛇足) - 芳賀 雅樹 のページ

ツイッターで宣伝したら,専門家らしきアカウントに「Paxos やら TrueTime やら擦られ続けた非本質やってないでクエリエンジンの話をしろ (意訳)」とエアリプされて,実際この辺りは掘れていない (スコープから外した) 部分ではあるので,年始はこのへんをやっていければと思います.最近 NewSQL の体系的な本が出たので二番煎じにならんように..

これ年末年始で読んでます.

『NewSQL徹底入門 分散DBのアーキテクチャからユースケースまで』(ミック,小林 隆浩) 製品詳細 講談社
★★データベースの未来を見据える、絶好の一冊!★★ RDBの堅牢な信頼性と、NoSQLの圧倒的なスケーラビリティ ――その両方を兼ね備えた次世代データベース、それが「NewSQL」です。 いったい何が「新しい」のか? その革新的なしくみとは何か? NewSQLを支える要素技術や、最大の特長である分散データベースの動作を、データベースのプロが徹底解説! ビッグベンダーが次々と参入する代表的なNewSQL製品の特長を深掘りします。 本書で扱う主なNewSQL製品:Google Cloud Spanner、TiDB、YugabyteDB、CockroachDB、Amazon Aurora DSQL ………
『NewSQL徹底入門 分散DBのアーキテクチャからユースケースまで』(ミック,小林 隆浩) 製品詳細 講談社 favicon www.kodansha.co.jp
『NewSQL徹底入門 分散DBのアーキテクチャからユースケースまで』(ミック,小林 隆浩) 製品詳細 講談社

ツイッターのタイムラインを眺めたり,実際の案件をこなしたりしているときに,ふと気づいたこともありました.自分が当たり前だと思っていた知識を意外と周りの人は知らないということです.テック界隈の有名人らしき人やベテランっぽい人に対して「これ知らないんだ」ってなることが意外と多くて,自分の中にある知識は自分が過小評価している以上に価値があって,実はお金になるのかもと少しだけ自信を持てた気がします.いろんな人々の和集合を取った超人と戦っていたかもしれない.

イベントとか

いくつか技術イベントにも顔を出しました.

7月に参加した Google Cloud Next は,正直なところ「こういう感じかー」という感じでした.純粋な技術イベントというより製品発表会な雰囲気で,スポンサー企業の CM を見ているような商業色の強さがぶっちゃけ肌に合いませんでした.9月の NVIDIA の AI イベントもそうですね.あっと,これは個人の見解であり,所属を代表するものじゃないですよ.

これと対照的だったのが 11 月の VimConf です.こちらは Vim のオタクたちによる Vim そのものに対する熱量を感じるような,なかなか居心地の良い空間でした.やはりビジネスマンが名刺交換をする場所よりも,こういう空気の方がしっくり来ます.資本主義や労働の否定なのだろうか.

VimConf 2025 Small
VimConf 2025 Small
VimConf 2025 Small favicon vimconf.org
VimConf 2025 Small

そういえば,今年は PPL (プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ) が業務の繁忙期と重なって,ラジオ感覚で流し聞きすることしかできませんでした.院生のころに論文発表した場ではありますが,こういうの忘れたくないなと思って現在も準会員として毎年会費という名の御布施をしているのです.2026 年こそはちゃんと参加して,今後もアカデミックな知見には触れ続けたいなと思います.年齢も年齢ですが,ビジネス以前にパソカタが好きな気持ちは枯らしたくないのです..

PPL 2026: 第28回プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ
PPL 2026: 第28回プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ favicon jssst-ppl.org

比較的プライベート

昨年の祖父に続き,6月に祖母が亡くなりました.実家に帰省したとき二人の姿がないことには,まだ少し寂しさを感じます.

自分の好奇心を満たす時間は大切にしました.国立科学博物館には何度も足を運んで,鳥展や古代 DNA 展,氷河期展,大絶滅展など毎回見に行きました.

どこかしら国内旅行に毎年行っているのですが,今年は浜松を観光しました.普段は無計画に行動しがちですが,今回は生成 AI と壁打ちしながら綿密に計画を立てて,密度が濃い観光になりました.

木造駅舎の残る天竜二俣駅では転車台を見学しました.車両の両側に運転台が付いた現代では不要ですが,歴史遺産として今も動いている様子を見られました.こういう歴史が現代に息づいているの好きです.

中田島砂丘では,日没を狙って夕日を眺めました.綺麗でした.

浜名湖では遊覧船に乗って移動しました.ロープウェイでも渡っています.

楽器博物館にも一日潰して入り浸りました.西洋贔屓することなく世界中の楽器が展示されているのが良かったです.ソンクラーベやらルンバクラーベやら,サルサについて勉強したり,実際にクラベスを叩いてみたりもしました.

あとは,数年前に取り壊してから工事中だった個人サイトも,Astro と Cloudflare Pages で作り直しました.結構気に入っています.

このサイトを新しくしました - 芳賀 雅樹 のページ
重い腰を上げて.
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このサイトを新しくしました - 芳賀 雅樹 のページ

2026 年の抱負

もうアラサーなので,技術者としてより抽象度の高いレイヤに関われるようになりたいです.現場で粛々とカタカタするのはオタクが得意なので良いとして,意思決定のために顧客の情報を積極的に取りに行ったり (いわゆるコンサルっぽい動き),あとは金や時間を気に掛けた立ち回りなど,もっと広い視野でプロジェクトに関わっていきたいと考えています.

現職のサラリーマンとして嬉しいのが「Toil 撲滅するぞ」って会社のビジョンに心から共感できることです.前職での運用や顧客とのやりとりが辛かった経験があるからこそ,コンテナ技術や CI/CD などの道具に留まらず,DevOps や SRE のマインドセットまで駆使した開発プロセスの内製化支援を通して,みんなで幸せになりたいという個人の想いがあり,現職の方向性と一致しているのは幸運なことでした.おしごとがんばりたいです.

ブログやイベントでのアウトプットも増やしていきたいなと思います.とにかく周りのアウトプットがすごいので.とはいえ,自分はアウトプットの質や思想を求めるタイプで,これはブレずにいきたいです.とりあえずは Spanner の記事の続きかなあと..

旅行は伊豆か静岡 (市) あたり攻めたいなと思います.静岡県も熱海・初島・三島・清水・浜松と攻めてきたので,カバレッジ上げたい.箱根あたりも気になっています.

アラサーといえば,ライフステージ的な部分もですね.周りでは結婚や出産なども増えてきましたが,あまり焦りすぎず,自分のペースで人生を進めていければと思います.

あとは,早く Switch 2 を手に入れて気になっているゲームをやりたいです.ドラクエ VII のリメイクも楽しみです.(最近,公式のネタバレを踏んで悲しくなったので,まだ踏んでいないみなさんは,予約を一度したら最新情報は追わないことをお勧めします.)

2025 年お世話になった方々,ありがとうございました.2026 年もどうぞよろしくお願いします.